2005年11月6日作成
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福岡県築上郡築城町(清地神社)


                   




 
円座餅つき (えんざもちつき) 
円座餅つきは、清地(すがち)神社大祭の行事で約300年近く前から続いている。悪疫退散や五穀豊穰の祈願と感謝の祭礼のため里人が相集い、 神餞(しんせん)として御鏡餅をつくとき、我も我もと希望者が多く、杵の奪い合いをしたため、餅つきができなくなり一同やむなく、ありあわせの棒切れを持寄り、臼に差入れてついたのが始まりとされる。毎年12月の第1日曜日の午後行われ、1995年(昭和30年)に県無形民俗文化財に指定さている

清地(すがち)神社
築城町(ついきまち)

福岡県築上郡
(ちくじょうぐん)築城町(ついきまち)県の北東部に位置し、三方を山に囲まれた町で、農業が中心の町である。JR日豊本線の築城(ついき)駅からタクシーで15分ほどで円座餅つきが行われる下香楽(しもこうらく)公民館に着く。

清地(すがち)神社

清地
(すがち)神社は下香楽(しもこうらく)公民館から10分ほど奥に入ったところの小高い山に鎮座している。この神社は天疫神宮または疫神社と呼ばれている。

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円座餅つきが行われる下香楽(しもこうらく)公民館

公民館前の広場には大きな臼(うす)と杵(きね)が備え付けられていた。臼は松の木製で、重さ30kg〜40kgあり、とても重い。杵は樫(カシ)の木から作られたもので、長さ1.5m、つき面5cmの棒切れである。

大きくて重い臼(うす)

(カシ)の木で作られた杵(きね)
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近くの民家にある臼(うす)の形をした庭木

大祭の行事では、数種の「座」が設けられている。「地願座」は前日に行われ、宮司、区長、座元らでお神酒とお膳をいただく。「子供の座」は、この日朝、神社での祭典後に行われ、氏子の2歳〜小学校6年生の子供を招待して、お膳立てを振舞う。「本座」は正午から餅つき開始まで行われ、地元氏子の戸主と餅つき手を招待して、仕出し料理や、酒が振舞われる。下香楽公民館でちょうど正午に本座が始まった。

本座での歓談
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午後2時半、宴もたけなわとなった頃、氏子総代が「そろたなァー そろたなァー つき手がそろった…」と円座餅つき音頭を唄い始めた。同席の人も手拍子で唄っている。本番の餅つきでも唄われ、つき手が合わせて餅をつく。


円座餅つき音頭の合唱
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本座の最後に、今年の座元から来年の座元への引継ぎの儀式である「おとば渡し」を行う。お互いに杯を交わしたあと手打ちで締める。下香楽には31軒の民家があり、今年の祭りには28軒が参加した。昔は隣り合う3軒の座元の家の前で行われていて、近くの池で鯉や鮒をとり、自分の田畑の作物を使って料理していたという。現在は手間隙を省くため、仕出料理が中心となり、公民館で行われるようになった。

座元の引継ぎ「おとば渡し」の儀式
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午後3時20分過ぎ、総勢13名の褌姿の裸衆が公民館から出てきて円座餅つきが始まった。

円座餅つきの始まり
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つき手たちは、臼を中心に円座となり、時計方向に回り餅をつく。一方、保存会の役員たちは、玄関前で円座音頭を唄う。それに合わせて宮司が景気付けの太鼓を叩く。

円座餅つき音頭を唄う保存会役員
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餅つきは三臼(うす)つく。一番臼は御鏡餅一重ねと12カ月分(閏年13重ね)の重ね餅をつき、二番臼は空臼(からうす)をつく。三番臼は藁餅(白餅の中に12束の新藁を入れる。閏年13束)をつく。ひと臼毎に円座音頭が唄われ、つき終わると男たちが臼を奪い合う、勇壮な臼練りが行われる。

一番臼をつく男衆
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円座になり時計回りにつく
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この日は寒風が吹く中であったが、「ヨイサ、ヨイサ」という掛け声に合わせ、威勢よくついていた。

寒風に褌もなびく
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高々と杵(きね)を上げる

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