2006年8月3日作成

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愛知県 稲沢市(国府宮神社)
 

                   





手桶隊(ておけたい)
手桶隊は小池正明寺(こいけしょうめいじ)地区の男衆が受け持っていて、裸男達を目掛けて力水をかける。参道や境内の数箇所設けられた水槽から手桶で水を汲み、裸の渦に容赦なく降り掛けるため、男たちの体や褌はすぐにびしょ濡れとなってしまう。同時に足元はぬかるみ、泥のようになっていく。

力水を汲む手桶隊
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力水を降りまく

2月の初旬は特に寒い。気温約7度の中で、激しい力水の洗礼が続く。たちまちにして激しくぶつかり合う裸男たちの体から、湯煙となって立ち上る。歓声が沸きあがる中、肉弾相打つ壮絶な揉み合いが続く。

何回も往復して水を汲む
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儺追殿の前で手桶隊が奮闘!


フル回転する手桶隊

午後5時半となった。日が暮れて辺りは暗くなってしまった。残念ながら撮影には不利な条件となった。そんな中、楼門をくぐり境内に神男が現れた。ここから儺追殿へ達するまでの間がこの祭りのクライマックスである

神男の登場!裸の渦に力水!

神男に触れて厄を落そうと、待ち構えていた男たちは、神男が居る場所に向かって突進する。一方、儺追殿では神男の救出のため、命綱(いのちづな)をつけた警護役員が出番をうかがっている。

儺追殿に神男が近づく


第48回写真コンテスト 特選 鈴木伸幸 「激走」
写真提供:国府宮社務所掲載許可取得)


神男救出のため飛び出す


続々と神男の救出に向かう警護役員
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深く沈んでいる神男を捜す
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神男が、裸の群集に揉まれ触れられ人々の厄災を一身に受けて儺追殿に納まった後、神事は終りを迎える。神男は、体中の毛を剃られてツルツルで、しかも真っ裸なので、見えれば撮影出来ると期待したが、残念ながら暗くなってしまい、望遠レンズではパーフェクトにとらえることが出来なかった。

神男を担ぎながら儺追殿に引き込む

どうしても神男が写っている写真が欲しかったので、国府宮社務所の了解を得て、コンテストの作品を使用させて頂いた。下の写真は、全裸の神男を抱きかかえる警護員の迫力ある作品である。  尾張大國霊神社

第46回写真コンテスト 特選 真野宏平 「クライマックス」
写真提供:国府宮社務所(掲載許可取得)


神男が儺追殿に納まり歓声が上がる

警護役員によって無事、神男が儺追殿の中に納まった。クライマックスは5分ほどであったが、「天下の奇祭」の儺追神事(なおいしんじ)は、とどこおりなく終わった。時計を見ると午後17時35分。やがて男たちは参道を通って引き揚げて行く。激しさを物語るかのように参道も、男たちの体も、そして褌も、ずぶ濡れとなっていた。

祭りの余韻に浸りながら退散
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駆け足で引き揚げる ぐっしょり濡れたふんどし

  
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神男にタッチして満足そうな男たち
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水浸しの参道を帰る 腕組して帰途につく

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暗くなった参道を帰る裸男たち(午後17時40分)
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儺追餅(土餅)を背負う神男
   夜儺追神事(よなおいしんじ)
翌日午前3時、昼間揉みくちゃにされた儺負人(神男)が白衣で参列
し、庁舎で夜儺追神事が執行される。
これが本来の祭りである。神職
が天下の悪鬼退散を祈願した後、あらゆる厄災を搗き込んだとされる
儺追餅(土餅)を、儺負人の背に負わせ、注連縄で縛る。儺負人は、
神職が大鳴鈴を打振る中、庁舎の周囲を廻るが、神職以下参拝者か
ら厄災をはらう礫(つぶて・桃と柳の枝を麻でしばり白紙に包んだもの)
を投げつけられて、境外へ追出される。儺負人は境内を追われ闇の中
に消えていく途中で儺追餅を捨てて、後ろを見ずに帰宅する。儺追餅は
直ちに神職の手で土中へ埋められる。これにより全ての厄災は土に帰
ったと信じられている。
資料より






名古屋駅から名鉄に乗換え、満員電車の中、国府宮駅に降り立った。近隣の人が皆押し寄せるが如く、熱気あふれる活気が感じられた。気温7度、約14万人の観衆が見守る中で、約9千人の裸男たちが、練り合い、ぶつかり合う様は見ごたえがある。特にクライマックスとなる楼門をくぐってからの手桶隊を交えた押し合いは、鳥肌が立つほど壮絶であった。まさに日本屈指のはだか祭りである。
当日、長時間待って、神男を撮影しようと構えていたが、日没に加え、身動きできないほどの観衆に押され、残念ながらキャッチすることが出来なかった。そこで、この作品をアップする前に「国府宮神社サイト」にあった神男を含んだ2点の写真の使用許可を申し出たところ、社務所より快く承諾を頂いた。この場を借りてお礼申し上げます。本当に有難うございました。
 2006年2月10日撮影: ニコンD70  944枚(1396MB) 


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