2007年2月10日作成
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   兵庫県西脇市板波町 (石上神社) 

  




なまずおさえ神事
西脇市の石上神社(いそのかみじんじゃ)で、秋の大祭日の夜に行われる神事である。神事は本殿を挟んで2ヶ所で行われる「シュウシ」と呼ばれる直会(なおらい)と、本殿前の土俵で行われる「なまずおさえ」と「相撲」の3つで構成されている。「なまずおさえ」は野村町と板波(いたば)町から出される立武者(たてりしゃ)、練者(ねり)、茣蓙持(ござもち)、菰持(こもち)の4役で行われ、「盗賊に盗まれた宝刀を滝壺から白布に包んで引き上げ、神殿に戻そうとしたところ、鯰(なまず)であった」という神事の由来を所作(しょさ)で表現したものである。この神事は平成16年に県指定重要無形民俗文化財に指定されている。

石上(いそのかみ)神社

「なまずおさえ神事」の由来

盗賊に盗まれて滝壷に沈んだ石上(いそのかみ)神社の宝刀を2人の潜水夫が見つけ、布に包み神殿に戻そうとしたところ、包まれていたのは宝刀ではなく、なまずであったというものです。以来、秋祭りの日に宝刀を捜している姿を奉納し、今日まで忘れずに捜し続けていることを神前に報告しているという。起源は宝永元年(1704)までさかのぼり、民俗的な意味で不明な点が多く残されているが、神事の主体と考えられる相撲が特有の形態を持つに至ったと考えられている。


本殿の前の土俵(なまずおさえの舞台)

午後7時ごろ、「シュウシ」と呼ばれる直会(なおらい)、コの字形にむしろを敷き、本殿を挟んで野村町と板波(いたば)町に分かれて始まった。提灯とロウソクの灯りの中で静かに行われる。


板波(いたば)町の直会陣営


厳かに進行する「シュウシ」


野村町の直会陣営

「シュウシ」は3回に分けて行われ、酒、なます、枝豆、餅などが配られる。1回配るごとに使者を出し、お互いの「シュウシ」の進行状況を確認する。


枝豆などが盛られた「シュウシ」


使者たちによる酒盛り

約50分間の「シュウシ」が終わると本殿前の土俵に集まり、菰持(こもち)が菰(こも)を敷き、土俵を均す。次に弓を持った立武者(たてりしゃ)が登場し、菰の上に立つ。続いて茣蓙持(ござもち)が出て立武者(たてりしゃ)の前に茣蓙(ござ)を敷く。


菰持(こもち)が土俵を均す


立武者(たてりしゃ)が登場

土俵が均されると、野村町と板波(いたば)からそれぞれ一人の練者(ねり)と呼ばれる褌姿の男が登場する。この男たちがなまずおさえ神事の主役である。


宝刀を持って現れた板波(いたば)町の練者(ねり)


白布に包んだ宝刀を持つ


野村町と板波町の練者(ねり)が土俵に上がる

かがり火が焚かれる中で、褌姿の練者(ねり)が白布に包んだ宝刀を茣蓙(ござ)の上に置く。

立武者(たてりしゃ)の前に進む


茣蓙(ござ)の上に宝刀を置く
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次は片手を腰に片手を前方に突き出す動作を交互に行いながら後ろに下がる。そして前進して茣蓙(ござ)の上の宝刀に手をつく。この一連の動作を3回繰り返す。この時周囲からは「ワーォ!」「ヨイショ!」の声がかかる。

片手を腰に片手を前方に突き出す


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