国重要無形民俗文化財の奇祭「鳥羽の火祭り」が2月10日、愛知県幡豆(はず)町の鳥羽神明社(しんめいしゃ)であった。祭りの起源は、約1200年前と伝えられる。高さ約5mの「すずみ」を二基作り、中に神木と十二縄(月の数の縄)を納め、それに火打ち石で点火してはじまる。そして「すずみ」の燃える中に神主の合図で、西側の「福地(ふくじ)」東側の「乾地(かんじ)」の二つの地区に別れた奉仕者たちが厄男を中心に炎の中に飛び込み、神木と十二縄を競って取り出し神前に供える。この祭りは「すずみ」の燃える具合と、「福地」「乾地」の勝敗によってその年の豊凶を占う神事である。言い伝えによれば「福地」が勝てば山間部に豊作が恵まれ一般に雨も多く、「乾地」が勝てば干天が続いたり異変がおこるという。神木と十二縄が取り出された後の、燃え残った竹で箸を作り食事をすれば歯の病を知らず、養蚕に用いれば豊作であるといわれている。