2006年12月17日作成
今 日 昨 日
 
 
 
        岩手県奥州市水沢区黒石町        




この作品について

この作品は匿名の方から頂いたDVD(キャプチャ)と写真を主として作成したもので、私が現地に行ったものではない。よってweb上の資料をもとに記述し、且つ、補填するためweb上から一部写真(資料と記述)を引用させてもらった。また、掲載の了解を得て、鈴木藤男さんのサイトから数枚の写真を借用させてもらい作成したものである。




黒石寺 蘇民祭 (こくせきじ そみんさい)

岩手県奥州市水沢区の妙見山黒石寺で毎年旧正月7日夜から翌朝にかけて行われる、千年以上の歴史を誇る裸祭りである。災厄を払い、五穀豊穣を願う、裸参り(はだかまいり)に始まり、柴燈木登り(ひたきのぼり)、別当登り
(べっとうのぼり)
、鬼子登り(おにごのぼり)、蘇民袋争奪戦の五つの行事から成る。夜を徹して行われ、翌日未明からは男たちが東西に分かれ、裸で押し合いながら蘇民袋を奪い合う。これを最後につかんだ者の住む方角がその年、豊穰多福になると伝えられている。平成18年は、2月4日夜から、氷点下7度の寒さの中、男衆約100人が参加し、翌朝まで行われた。        主催:黒石寺蘇民祭保存協会


本堂 (薬師堂)
資料



薬師如来坐像
資料

妙見山 黒石寺(藤波洋香住職)

奈良時代天平元年(729年)に行基菩薩によって開基と伝えられる天台宗の古刹(こさつ)。東光山薬師寺と称していたが円暦年間の蝦夷征伐の戦火にあい焼失。その後、807年に薬師堂を再建し、849年には慈覚大師円仁が復興して「妙見山黒石寺」と改名された。国指定重要文化財である薬師如来坐像や木造僧形坐像、県の文化財に指定された四天王像、木造日光・月光菩薩立像、木造十二神将像が安置されている。


撮影:鈴木藤男さん  クリックで拡大


蘇民袋(麻袋)
資料


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黒石寺へのアクセスは、東北新幹線水沢江刺駅よりタクシーで15分、東北本線水沢駅よりタクシーで20分で着く。当日は駅から臨時バスが出ている。寺には、むしろだけで出来た小屋があり、中は炭火が焚かれていて、暖を取ったり、飲食や着替えが出来るようになっている。


むしろで覆われた小屋



裸参り(はだかまいり)−−午後10時から

夏参り又は祈願祭ともいわれ、厄年連中、一般祈願者、善男善女が鐘の合図で社務所前に集まり、角燈(かくとう)と割竹にはさんだ浄飯米(おはんねり)を持ち、瑠璃壺(るりつぼ)川(山内川)で水垢離(みずごり)をしたあと、「ジャッソー・ジョヤサ」の掛け声で、薬師堂、妙見堂を3回巡り、無病息災・家内安全・五穀豊穣を祈願する。

    「ジャッソー・ジョヤサ」の掛け声の語源: ジャッソーは、邪正(じゃそう)を意味する。邪を正す。つまり「邪心を祓う」。
      ジョヤサは、「常屋作」を意味する。永遠の住まいを作るという意味で、つまり家内安全を意味する。

瑠璃壺川(山内川)の水垢離場


各燈(かくとう)を持つ男衆 凍て付く瑠璃壺川(山内川)に入る

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続々と男たちが水垢離(みずごり)をする
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裸になった男たちは、寺のすぐ下を流れる瑠璃壷川(るりつぼがわ)へ入り、桶で頭から水をかぶり身を清める。所々に氷が浮かぶ川の水は相当冷たい。男たちの身体からは気合と熱気で白い湯気が立ち上る。

災厄を祓う水垢離(みずごり)
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身を清める「裸参り」
資料

蘇民将来!(そみんしょうらい)と叫び 手桶で氷水をかぶる
撮影:鈴木藤男さん

岩手県の蘇民祭は、ここ黒石寺だけでなく、花巻市の胡四王(ごしおう)神社、江刺市の伊手熊野(いでくまの)神社、石鳥谷町の五大尊などでも正月の祭として行われ、3月になって大迫町の早池峰(はやちね)神社でも行われる。



その昔は素裸で行われていた祭りだが、最近は観光化されて多くの見物客が訪れるようになり、褌着用を奨励している。だが素裸が禁止されているわけではないようだ。毎年多くの男たちが生まれたままの姿で参加している。

妙見堂に向かう
水垢離してから境内を廻る




山道を登る裸男
灯りの点いた各燈(かくとう)を持ち進む

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「ジャッソー!蘇民将来!(そみんしょうらい)」の掛け声で、男たちは凍て付く瑠璃壺の水を頭からかぶる。全裸の男たちも褌姿の男たちも、ためらうこともなく、威勢よく水垢離(みずごり)を繰り返していく。今は3回繰り返すが、昔は夕方から始めて、20回以上、水垢離しないと争奪戦に参加できないといわれていた。




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「ジャッソー・ジョヤサ」の掛け声で、薬師堂から妙見堂を廻る

柴燈木登り(ひたきのぼり)−−午後11時30分から

鐘の合図で行列を組み、腰をかがめて「イヨー・イヨー」の掛け声で、柴、たきつけ、ごま殻、塩をもって進む。本堂前には前日に境内の山中から採れた生松割木(長さ5尺に切って2つ割にしたもの)を井桁に3m以上の高さに2箇所積み重ねてある。それに火を焚く。男たちは柴燈木(ひたき)の上に登って、火の粉を浴びながら山内節(やまうちぶし)を唄い気勢をあげ祈願する。“登り”とは庫裡(くり)から本堂に向って行列を組んで進むことをいう。





高らかに山内節(やまうちぶし)を唄う

煙が裸男たちを包む


山内節(やまうちぶし)
1. ハァ〜 揃うた揃うたよ 皆様揃うた 秋の出穂より なおよく揃うた (ジョヤサ ジョヤサ)以下同じ
2. ハァ〜 場所だ場所だよ 山内場所だ 上は妙見 その下薬師
3. ハァ〜 場所だ場所だよ 山内場所だ 奥は大師の ありゃ座禅石
4. ハァ〜 一度ござれや 山内薬師 五穀豊穣の ありゃ守り神
5. ハァ〜 柴燈木登りや 別当登り  鬼子登りで ありゃ夜が明ける

ジャッソー!ジャッソー! ジャッソー!ジョヤサ!



生木の煙と火の粉を浴びる男衆


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