2005年3月26日作成

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岡山県美作市林野(安養寺)

    

                   

  



     副宝木の争奪戦が終わり5分ほどすると裸たちは観音堂の御福窓下に集結して一塊となった。

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観音堂の前で宝木の投下を待つ裸たち

午後9時15分になった。陰陽2本の本宝木が観音堂の御福窓(ごふくまど)から投下される。皆が渇望する福を誰が授かるのであろうか。お堂の中には横田弘雲住職が見えた。

御福窓に上がった住職


       そして境内の照明が消されて暗闇に包まれると横田弘雲住職の手により本宝木が投下された。

資料
本宝木の投下

      「 うおー」という喚声を上げて激しい争奪戦が始まった。やがて辺りに裸の渦が出来て肉弾戦となった。

                   宝木の白い包みを奪い合う                  
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        宝木がどこにあるのか観ていても分からない。ただ裸の渦だけがその在り処を物語っていた。

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                         落下した宝木を取り合う裸の渦                                       


          必死にもがき息が上がる                  


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緩んだ褌を締め直す姿もあった

  宝木(しんぎ)の投下に合わせて串牛玉(くしご)が80束ほど投げられる。串牛玉(くしご)は柳の細い木片を一束に  したものである。 

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                                     串牛玉(くしご)が落ちてきた!                                                  



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我先に串牛玉(くしご)拾おうとする裸衆

目当ては宝木である。宝木は一度握ったら容易には離すことはないし、取ることも出来ない。

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宝木を握っての激しい揉み合い


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             渾身の力で宝木をもぎ取ろうとする裸衆               

 約10分足らずの争奪戦を制して宝木を獲得し福を授かったグループは、岡山市西幸川の会社員、三宅直 紀さんら12人の中井グループと岡山県和気(わけ)町の公務員、島津崇さんら27人の林グループだった。後日 祝い主(さとうグループ及び田村工務店)より賞金が贈られる。

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争奪戦が終わり境内は静寂に包まれた

境内には本宝木と副宝木の受付所がある。そこで僧侶により検分を受けてから男たちは引き上げて行った。

宝木を獲得して引き上げるグループ

資料
奉納された宝木

 
 
岡山県南部を中心に、会陽あるいは裸祭りと呼ばれる行事が伝承されている。岡山市の西大寺(さいだいじ)、金山寺(きんざんじ)、美作町(みまさかちょう)の安養寺(あんようじ)などでは現在も行われており、備前市の恵美須宮、落合町の木山寺などでもかつて行われていたことが知られている。 宝木(しんぎ)を得た者は福を得ると信じられており、大勢の裸男たちが、御福窓(ごふくまど)から投下される宝木を奪い合う。

この行事は、年始にあたって国家安泰や万民豊楽、五穀豊穣を祈願する修正会(しゅしょうえ)が民俗行事化したもので、民間信仰の変遷を知る上でも貴重な行事である。岡山県内では同種の行事が複数存在しているが、重要無形民俗文化財の指定を受けているとはいえ、一部を除いて衰滅しており、現在継承されているものも習俗の消滅や変容が見られるなど、衰退・変貌の恐れが高くなっているのが現状である。


古来、正月1日よりニ七日(にひちにち:14日間)の間にわたり奉修されてきた修正会(しゅしょうえ)はもっとも重要な宗教行事である。中世の後期には牛玉(ごおう)を投授するという行事が修正会結願(けちがん)日に加えられたが、この修正会は終始一貫して伝統が守られ、厳修されている。通常は、旧暦に従った宗教行事で正月1日開白、14日結願で、結願日には民俗行事と結びついた例が多く、一般的には春迎えの宗教行事とされている。







奇祭ともいわれる裸祭り(会陽)が美作安養寺で行われました。裸祭りといえば西大寺が有名ですが、安養寺は規模の大きさでは一歩も二歩も譲りますが、歴史の深さでは勝るとも劣りません。1月最終の土曜日以降2月の終わりまで毎週土曜日には会陽が各地で行われます。特に岡山県に多く、広島、香川県にも同様の習俗が残る地域があるという。この安養寺会陽は無形民俗文化財に指定されており、今後も変質することなく後世に残していって欲しいものです。

                                                    2005年2月12日撮影: ニコンD70  302枚(441MB)


 

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