2007年2月10日作成
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   兵庫県西脇市板波町 (石上神社) 

 




なまずおさえ神事は、古い宮座形態と「ねってい相撲」が組み合わされた珍しい神事でもある。盗まれた神社の宝刀を捜す様子を「ねってい相撲」で表現しているという。

宝刀を捜す様子を表現する「ねってい相撲」
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交互に手を突き出す

ねってい相撲の「ねってい」は、同じ動作の繰り返しを意味する「練る」が語源とされ、勝ち負けを決めない神事として行う。平安時代に朝廷で行われていた相撲節会(せちえ)の儀式を伝えるとされ現在の相撲の原型ともされる。

周囲から「ワーォ!」「ヨイショ!」の声がかかる


一連の動作を行うごとに宝刀に手をつく

ねってい相撲はおよそ2分ほどで終了する。この間3回同じ動作が繰り返される。決して派手さはないが、地元に根づいている敬虔な神事なのである。

2回目の「ねってい相撲」


3回目の「ねってい相撲」
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ねってい相撲が終る


土俵を祓う2人の練者(ねり)


向かい合う練者(ねり)

練者(ねり)が下がると行司役が土俵に上がり、服を着たままの子供たちが元気いっぱいに相撲を取る。

土俵に上がった行司役


子供相撲の押し合い


力が入る子供相撲

相撲が終わると、2つの町から出た、茣蓙持(ござもち)、立武者(たてりしゃ)、菰持(こもち)の順に土俵の上を片付けながら退場し神事を終える。全体的には「シュウシ」から始まって約1時間20分位の時間であった。

茣蓙持(ござもち)の退場


菰持(こもち)の手打ちで神事終了

和服に着替えた野村町の練者(ねり)






西脇市といえば日本の中心地点に当たることから、「日本のへそ」の町として有名である。また高校駅伝の名門校、
西脇工業高校も名高く知られている。そんな町で、秋祭りの夜に伝説的な厳かな神事が行われていることはあまり知られていない。講と呼ばれる野村、板波(いたば)の2つの町が守り続けている伝統行事なのである。撮影する中で、長老が若者たちに神事の作法をしっかりと教えているところが印象的だった。また、神事の中に子供たちが参加しているのを見て、なまずおさえ神事が代々に受け継がれていくものと確信しながら西脇市を後にした。
 2006年10月8日撮影: ニコンD70  177枚(249MB) 


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