2006年2月18日作成
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山口県 防府市 (春日神社)


                   



 
防府・春日神社 大寒みそぎ
暦の上で最も寒い日とされる「大寒」の日に、冷水につかって心身を清め、無病息災を祈る「大寒みそぎ」が、山口県防府市(ほうふし)の春日神社であった。みそぎは大寒の1月20日から3日間、計8回行われる。21日4回目の正午から行われた行事を撮影した。この日は小学生も含み、37名の男女が禊を行った。気温は5℃、水温は10℃。男性は褌一丁、女性は白装束姿で冷たい水槽に入り、一年間の無病息災を祈った。この行事に参加するとその年は風邪をひかないといわれている。

春日(かすが)神社 社殿
  
防府・春日神社(佐伯博祥 宮司)は山口県防府市
牟礼に鎮座している。JR防府駅から「阿弥陀寺行き」
のバスで約30分、タクシーで15分ほどで着く。
文治二年(1186年)、藤原氏が周防の国司としてこの
地に下向された際、その藤原氏の祖神である奈良の
春日神社の分霊をお祀りされたとされる。境内には
太鼓楼(たいころう)、神庫(しんこ)、社務所の他、禊所
(みそぎしょ)がある。
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「大寒みそぎ」は大寒の1月20日から3日間、朝6:30、昼12:00、夕18:00の1日3回ある。最終日は朝と夕の2回のみ開催となり、合計8回老若男女がみそぐ。禊所(みそぎしょ)は社殿の横にあって、縦4m、横2.5m、深さ0.9mの水槽に冷たい水が張られている。

水槽がある禊所(みそぎしょ)
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午後12時前になると、男性は越中褌、女性は白装束姿に身を包み、社務所の前に姿を現した。しばらく焚き火にあたり暖を取って体をほぐす人も見られた。

褌一丁で社務所の前に集まる
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焚き火にあたり暖を取る人たち

午後12時なると境内の中央に全員が集合して、宮司を先頭にランニングが始まった。準備運動を行い、いきなり冷水に体をさらさないようにしているのだろう。境内を3回ほど”わっしょい”の掛け声で周回する。

境内に全員集合!
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宮司を先頭に走る
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境内をランニングして、社殿の前を通って禊所にやって来た。まず宮司が一番に禊場に上がる。その後、水槽を取り囲むようにして全員が整列する。私語は最後まで厳禁である。全員が正面の神祠に向かって参拝する。

禊場に入場する宮司

禊所の前には「禊行法(みそぎぎょうほう)」の大きな掲示板がある。そこに書かれている文言を引用すると、『みそぎは「身を削ぐ」ともいい自分を厳しく鍛えることによって強く健全な心身をつくる「行」である。まなけ心をたたきだせ!頑張りの限界を自分で作り出せ!「禊場」では道彦(指導者)の指示で行動すること』と掲げられていた。

水槽の周囲に整列した人たち
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禊行が始まった。最初に「鳥船(とりふね)の行」が行われる。この行では、みそぎ歌を歌いながら「櫓(ろ)漕ぎ運動」を繰り返す。左足を前に踏み出し、両手を軽く握り大きく櫓(ろ)を漕ぐ動作を繰り返す。この動作は古代日本人の海上における雄飛を忍ぶとともに、心身を強化させる働きがあるという。

「櫓(ろ)漕ぎ運動」を行う
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続いて「雄健(おたけび)という行がある。両手を腰に、足は開脚し、道彦(指導者)に続いて腹の底から”いくたま(生魂)・たるたま(足魂)・たまたるたま(玉溜玉)”と大声で発声する。神の御名を叫ぶことで、心を晴れ渡らせるのだという。ちなみに生魂は創造・発展・完成の神(高御産巣日神)、足魂は豊かに充実させる神(足産巣日神)、玉溜玉は遊離した魂を再び静め、死者の魂を復帰させる神(玉留魂神)である。

大きな声で「雄健(おたけび)」を上げる


行の合間では手を合わせ「振魂(ふりたま)」をする

次に「雄詰(おころび)の行がある。左手を腰に、右手人差しと中指を眉間(みけん)に当てて構え「国常立命(くにのとこたちのみこと)」と唱え、左足を半歩前に踏み出し「イエーィ」と右手で空を切り下ろし、「ヤーッ」の気合で元に戻る。右手を勢いよく切り下ろすことで、災害・凶事を引き起こす悪霊を排除するのだという。

「雄詰(おころび)」の行を三度繰り返す
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