2005年6月02日作成

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兵庫県姫路市
    

                   





三の丸会場から再び大手門をくぐり、メイン道路の大手前通りに帰ってきた。朝10時に始まった祭りは、やがてフィナーレをむかえようとしていた。大手前通りで大勢の観衆が見守る中、最後の屋台練りが行われた。

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大手前通りに帰ってきた妻鹿(めが)の一団

 高欄掛(こうらんかけ)
屋台の乗り子が座る高欄の四方に飾られた刺繍装飾を高欄掛(こうらんかけ)と言います。高欄掛で最も多い図柄は龍、虎、鯉、鷲の退治物で、中には鵺(ぬえ)退治、蜘蛛(くも)退治、鬼退治、飛龍退治などが見られます。合戦物では宇治川の先陣争いや一ノ谷の合戦などの源平合戦、富士の巻狩り、川中島の合戦などが多く見られます。作品を引き立たせるため周囲には額縁と呼ばれる模様が刺繍されています。高欄掛は地域や屋台の構造によって取り付けられていない所もあるようです。

   合戦物の高欄掛(こうらんかけ)
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 伊達綱(だてづな)
屋台の四隅に伊達綱(だてつな)と呼ばれる綱が取り付けられています。伊達綱の先端は房になっており、房が激しく揺れることで屋台練りの豪華さを引き立たせています。伊達綱の色は白に金糸が入ったものが最も多く、茶色に金糸、緑に金糸など地区によって様々な色合いがあります。

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   ゆれる伊達綱(だてつな)

ブイ差し
太鼓を叩くバチのことを、播州では「ブイ」或いは「バイ」という。地区によっては、乗り子が片手を幕の外に出しながら太鼓を打つところがあり、これを「ブイ差し」と言います。灘祭りの屋台では7ヶ村すべての屋台がこれを行い、灘祭り以外では、大塩天満宮の西之丁、福泊神社の福泊、恵美酒宮天満神社の都倉、津田天満神社の今在家、加茂などが知られています。

                   片手を上げてブイ差しをする乗り子                  
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  乗り子衣装(のりこいしょう)

乗り子衣装とは、屋台の太鼓打ち(乗り子)が着る衣装のことで、赤地の襦袢(じゅばん)に龍や虎などが刺繍されています。頭には頭巾をかぶり、頭巾には地区名の頭文字などが刺繍され、頭巾の文字を見ることで屋台の地区名が分かります。


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              両手で重量感ある屋台を持ち上げる 

練り子が両手で屋台を高く差し上げることを「差す」と言います。これは神前への敬礼や挨拶の意味があり、播州のどこの地区の屋台でも行います。練り棒のところを持って差し上げます。(練り棒とは、練り子が屋台を担ぐ棒のこと)

          屋台を「差す」八家の練り子                  

西日が傾き始めたころ、八家(やか)の屋台が猛烈な勢いで練を入れた。祭りの終演が近づいたこともあって、盛り上がりは最高潮に達した。

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八家の練り子達が揺れだした


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                               「オッと」八家の屋台が右に傾いた     (顔を歪め必死に堪える)  


            持ちこたえることが出来ず転倒させてしまった     (大丈夫だろうか)

屋台の練りに関しては7村で一番と定評があり、屋台を結して落とさないきれいな屋台練りを見せるといわれる八家であったが、最後の最後で転倒させてしまった。幸い怪我人もなくホッとした。エネルギーが余っていたのか、弾みがついてしまった結果なのであろう。

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               転倒した屋台を起こす八家の練り子    (背中の汗に西日が光る)

この後夕方5時を過ぎると、屋台の最上部にある擬宝珠(ぎぼし)露盤(ろばん)を取り外してトレーラーに積み込まれて、祭りの長い一日は終わった。各地区の練り子達は疲れた体に満足感を漂わせて帰って行った。
*擬宝珠(ぎぼし):擬宝珠とは、屋台の最上部にある飾り物で、宝珠を模したものです。宝珠には、神霊が如意的に宿るものと考えられ、屋台の擬宝珠には神が宿るとされています。宝珠は、ねぎの花を図案化したものといわれ、ねぎの花は長く散らないことや、独特の匂いから邪気を払うことで、目出度いものと考えられています。宝珠部、かさ首、伏鉢の3つの部分で構成されます。
*露盤(ろばん):屋台の最上部にある擬宝珠を支える台座のことです。擬宝珠には天の神が降り立つとされ、それを支える露盤には、邪気を払い擬宝珠を守護するといった意味があります。

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トレーラーに乗った東山の屋台






この祭りは、私が最初に撮った裸祭りである。これがきかっけとなり、以後裸祭りを撮影するようになった記念すべきものでもある。今回ようやく作品にすることができたが、一枚一枚の写真を見るたびに克明にその時のことを思い出す。大勢の人に揉まれながら必死に被写体を追ったことが昨日のようでもある。日本人らしさ(アイデンティティ)を、練り子の褌姿と祭り屋台に存分に感じ、感動しきった祭りでもある。
 2004年5月22日撮影: Finepix  S7000 (FUJIFILM) 


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