2005年12月01日作成

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岡山市 西大寺(西大寺観音院)


                   

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何回か福男になったことがあるグループでは、この時を迎えるまでに、集まって何回も宝木の取り方を練習するのだという。また1月から酒を断ち精進料理で過ごし、水ごりもするのだという。住職らの厳しい修行にならい8年前から続けているらしい。そのグループいわく、宝木は奪うものではなくて精進して授かるものだという。

宝木投下30秒前


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宝木投下10秒前

宝木投下
午前零時前、修正会が結願(けちがん)する。そして零時ちょうどに境内の照明が一斉に消え、カメラのストロボの閃光だけが闇を走る。本堂の上にある御福窓(ごふくまど)から、まず細木で出来た100組(5本1組)の串牛玉(くしご)がまかれ、次に牛玉紙(ごおうし)に包まれた2本の宝木が住職によって投下された。

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午前零時・宝木投下の瞬間

「ウォー!」という声があがり、大床は争奪戦の修羅場と化した。宝木は裸の渦の中にあり見えない。宝木に焚き込まれた香(こう)の強いにおいを頼りに、裸が渦を目掛け飛び込んで行く。大床からあふれた裸が塊となり、本堂からなだれ落ちる。そのたびに観客席にどよめきが起こる。

大床の修羅場

1分後に明かりが灯された。大床では裸たちが押し合い、折り重なって踏み込んでいく。まさに肉弾戦である。

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大床の肉弾戦

本堂は揺れんばかりの裸のうねりとなり、あちこちで争奪戦の渦ができ、その渦が大床から境内に移動して行く。

 
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裸のうねり

宝木は単独で取ることは不可能に近い。チームを組み、次々と宝木を渡して渦から抜け出す方法が王道である。

移動する裸渦(はだかうず)


宝木を奪い合う裸(はだか)

本堂から境内へと数組の裸渦に分かれてもみ合い、やがて「宝木が抜けたぞ!」という声とともに大床で拍手が起こった。その後、午前零時15分頃、潮が引くように裸たちが境内から去って行った。

お互いの健闘をたたえ合い拍手喝采
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宝木検分
宝木を取ったグループは、一度自分たちの控え所に帰り、祝杯をあげてから、午前1時頃に宝木仮受所のある西大寺商工会議所にやって来た。宝木は寺の僧侶により検分され、本宝木であれば、福男に認定される。

                   宝木を手にした「福男」      樽井グループ 井上 さん
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樽井グループの勇姿

福男(ふくおとこ)
今年、宝木の取主となったのは、5回目となった岡山市中井の呉服商・樽井グループ(樽井義人さんら30人)と7回目となった岡山市神崎町の理髪業・林グループ(林昭二郎さんら30人)であった。共に2年ぶりの獲得という。
福男: 樽井グループ   磯島 (26才)    井上 (30才)    樽井義人(69歳) (敬称略)
福男: 林グループ     丹原 一二(29才)   林 大輔(35才)    柳本 浩行(30歳) (敬称略)

                    西大寺商工会議所に向かう「福男」        林グループ 丹原 一二さん
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林グループの勇姿

宝木の検分が終わると、福男は今年の祝い主のもとに行き、一升枡(ます)に盛られた白米に宝木を突き立てる。そして祝主である岡山トヨタ自動車(株)とネッツトヨタ岡山(株)から、後日賞金が贈られる。

            宝木検分を終えて仁王門をくぐる       林グループ
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                     一升枡に宝木を突き立てる      左より 柳本さん・林さん・丹原さん
写真提供:Wa☆Daフォトギャラリー






  
備前平野に春を呼ぶ「西大寺会陽」はあまりにも有名であり、日本全国はもとより、海外にも知られている。9千人の裸と3万人の観衆が集結する境内は、裸の気迫と熱気が伝わり、観ている方も思わず気分が高揚してくる。おそらく裸の数からいえば、世界一の裸祭りであろう。
時代を反映しながら、長い間築かれた伝統を守り成長していくのが祭りである。西大寺会陽も大床の梁に上がることを禁止され、人の頭に飛び降りるような危険なことはしなくなり、警備隊も入り安全性が考慮されてきている。近隣の会陽が消え行く昨今、この祭りだけは伝統を守って進化していって欲しいものだ。
 2005年2月19日撮影: ニコンD70  741枚(1106MB) 
  

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